赤ちゃんに母乳をあげるようになってから、ちょっとずつ感じ始める焦燥感。
「上手く吸ってくれない・あげられない」
「思ったように赤ちゃんの体重が増えない」
「乳頭が切れて授乳するのがツライ」
「乳腺炎になるのが怖い」
出産してから、悩みが尽きないおっぱい(母乳)のこと。
無事に出産を乗り越えることに意識が向きがちで、産後の母乳育児に意外と困ったという経験の方も多いはず。
そんな母乳の悩みを抱えるママたちに温かく寄り添う、おっぱいケアを専門に活動されている「たなか助産院」さんを伺いました。
「おっぱいケア」専門のたなか助産院
いらっしゃ~い。どうぞ、どうぞ!お待ちしていましたよ〜。
優しい声で迎え入れてくれたのが、助産師歴38年という田中由子さん。
ママと1対1でしっかり向き合いたいという想いから、開業助産師として活動されています。
助産院に来たというよりは、自宅におじゃましたような感覚で、とても居心地の良い空間でした。以前は、訪問ケアを中心に自宅の小松島市から向かっていましたが、遠方への訪問が難しいこともあったため、徳島市に拠点を移すことを決意されたそうです。
田中さんが大好きというアーティストの歌声をBGMに、終始リラックスした状態で話を伺うことができました。
妊娠中からケアを希望するママが増えている!
「おっぱいケア」とは、簡単にいうと母乳を出やすく、赤ちゃんが吸いやすいように乳房を手入れをすることです。
赤ちゃんが生まれる前の妊娠10カ月(約36週)くらいから本格的に行うことができます。するとしないとでは、赤ちゃんの母乳の吸い方に大きな違いが出てくるそうです。
最近は、妊娠後期に入ったママから「おっぱいケアをどうしたら良いですか?」という声が増えています。
「妊娠中から、赤ちゃんのために、おっぱいのことを考えてくれるママが増えてくれて嬉しいんですよ」、と微笑む田中さん。
先生の人柄は、どんな悩みにも寄り添って、包み込んでくれるような安心感が漂っています。
どんな「おっぱいケア」をすれば良い?
妊娠中にしておきたいケアの中で、田中さんが特に大切と感じているケアが「乳管開通操作」と「オイル湿布」です。
母乳の出口である乳管が開いていないと、スムーズにおっぱいが出てきてくれません。「乳管開通操作」で、乳管の通りを良くしておくことで、赤ちゃんが吸いやすいおっぱいになるそうです。
妊娠中は新陳代謝が活発なため、初乳の分泌によって乳頭に溜まった乳カスやアカなどの汚れが多くなります。「オイル湿布」で取り除くことで、乳管が詰まる可能性を軽減することができます。さらに、赤ちゃんが、母乳以外のものを吸い込んでしまうことを防ぐ役割もあります。
乳管が詰まってしまうと、赤ちゃんが母乳を上手く吸うことができなかったり、母乳が出ない状態が続くために、乳腺炎等のトラブルの原因にも!
ケアをしておくと、赤ちゃんが喜んで吸ってくれるんですよ。出産後すぐでも、母乳が出やすくなるし、吸われても痛くないおっぱいになります。
産後ママに寄り添ってくれる、心強い味方!
思うように赤ちゃんが吸ってくれなくて、心が折れそうになっているママからの電話で、自宅に伺うことも少なくないそう。
ミルクにしようと思っていたけれど、最後の頼みの綱として連絡してくる方もいます。
田中さんのおっぱいケアを受けたママから、
「1人目はミルクだったけれど、2人目は完全母乳で育児ができた」という嬉しい声も届いています。
ママのにこにこ笑顔のために
以前田中さんが足を運んだという、泣きながら連絡をくれたママのおっぱいは、詰まりがあったために、新生児の赤ちゃんが飲みにくくなっていました。
お腹が空いて、飲みたくても上手く飲むことができず、怒っておっぱいを叩いたり、自分の顔を引っかいたり、、、。
ママが一生懸命になればなるほど、泣き止まない赤ちゃん。こうなってくると、もう辛くなってしまいます。思うように行かないことに苛立ちと虚しさが込み上げてきて、気持ちも落ち込んでしまうのも分かります。
訪問後、お話を聞きながら、詰まりをケアをして、授乳ポジションなどを整えてから、赤ちゃんに吸ってもらうと、ゴクゴクと音が聞こえるように飲んでくれたそうです!
「初めて吸ってくれました!」
赤ちゃんの満足そうなリラックスした顔が見えたときの、ママが笑顔になる瞬間がとにかく自分事のように嬉しかったと語ってくれました。
このエピソードを聞いて、私も涙がこぼれました。
赤ちゃんってね、ママの心の鏡なんです。ママが笑顔でニコニコしていたら、よく飲んでくれたり、よく寝てくれる赤ちゃんになります。反対に、ママが鬱々していたら、グズグズしている赤ちゃんになってしまうんですよ。
たなか助産院の現在の活動
料金について
エリアによって出張料などが異なってくるため、詳しくはこちらをご確認ください。
育児相談について
そごう徳島で開催していた無料育児相談は、現在はお休み。
たなか助産院にて、ケアはもちろん、出産時の陣痛が始まった時の過ごし方などのお話も聞くことができます。
田中さんは、毎年日本各地で、開催される産後学会で最新の情報を学ばれています。
母乳育児についてだけでなく、鍼灸師の先生から教わった、つわりや陣痛を和らげるツボや早く子宮が開くツボなども勉強になったそうです。
取材中も、徳島市の産後ケア事業からの依頼や、一般の方からの予約やお問い合わせの連絡が何件もありました!
できるだけ寄り添いたいという想いから、ママを気遣いながら日程を決めるやりとりは、常にママ目線。
「乳腺炎の方なら、早めが良いかなぁ?」と、電話越しからも温もりが伝わりそうです。
「母乳育児が上手くいくように、ママがツライ思いをしないように、少しでも早く妊娠中から関わりたいです」という田中さんの笑顔が印象的でした。
笑顔に導いてくれる温かい存在は、母乳で悩むママの救世主です!